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NXR,VXRシリーズ

WANインタフェース編

10. 冗長化設定

10-4. メインEthernet+バックアップPPPoE構成

この設定例では、メイン回線にEthernet、バックアップ回線にPPPoEを利用して冗長化を行います。メイン回線側で障害発生時、バックアップ回線で通信を継続します。

 

【対象機種】NXR-1300シリーズ,NXR-650,NXR-530,NXR-350,NXR-230/C,NXR-G260,NXR-G240シリーズ,WXR-250(2021/12現在)

最新の対応状況は、各製品の更新履歴やユーザーズガイドをご確認ください。

 

コンテンツ
構成図 設定例 設定例解説 端末の設定例 補足 付録

 

【 構成図 】

  • この例ではメイン回線のインタフェースをeth1、バックアップ回線のインタフェースをppp0とします。
  • メイン回線の監視方法には、Ping監視(track設定)を使用します。

 

〔正常時〕

  • メインおよびバックアップ回線は、ともに常時接続とします。
  • ppp0側の通信経路はネットイベント機能で無効にします。

 

〔メイン回線側障害時〕

  • メイン回線側障害時、ネットイベント機能でppp0側の通信経路が有効になり、ppp0側で通信を継続します。
    (☞) メイン回線側の障害は、メイン回線監視先へのPingがNGとなり、トラック状態がダウンすることを想定しています。
  • 通信経路は、ip routeコマンドで設定したデフォルトルートとDHCPで取得したデフォルトゲートウェイが両方有効な場合、ip routeコマンドで設定したデフォルトルートが優先となります。

 

【 設定例 】

nxr530#configure terminal
nxr530(config)#interface ethernet 0
nxr530(config-if)#ip address 192.168.10.1/24
nxr530(config-if)#exit
nxr530(config)#track 1 ip reachability 198.51.100.1 interface ethernet 1 30 3
nxr530(config)#ip route 0.0.0.0/0 ppp 0 netevent 1 active
nxr530(config)#interface ethernet 1
nxr530(config-if)#ip address dhcp
nxr530(config-if)#ip masquerade
nxr530(config-if)#ip spi-filter
nxr530(config-if)#ip tcp adjust-mss auto
nxr530(config-if)#exit
nxr530(config)#ppp account username [ISP_B接続用ユーザID] password [ISP_B接続用パスワード]
nxr530(config)#interface ppp 0
nxr530(config-ppp)#ip address negotiated
nxr530(config-ppp)#ip masquerade
nxr530(config-ppp)#ip spi-filter
nxr530(config-ppp)#ip tcp adjust-mss auto
nxr530(config-ppp)#ppp username [ISP_B接続用ユーザID]
nxr530(config-ppp)#exit
nxr530(config)#interface ethernet 2
nxr530(config-if)#no ip address
nxr530(config-if)#pppoe-client ppp 0
nxr530(config-if)#exit
nxr530(config)#dns
nxr530(config-dns)#service enable
nxr530(config-dns)#priority dhcp 1
nxr530(config-dns)#priority ppp 0 10
nxr530(config-dns)#timeout 5
nxr530(config-dns)#exit
nxr530(config)#fast-forwarding enable
nxr530(config)#exit
nxr530#save config

 

【 設定例解説 】

1. <LAN側(ethernet0)インタフェース設定>
nxr530(config)#interface ethernet 0
nxr530(config-if)#ip address 192.168.10.1/24

ethernet0インタフェースのIPアドレスを設定します。

 

2. <トラック設定(Ping監視)>
nxr530(config)#track 1 ip reachability 198.51.100.1 interface ethernet 1 30 3

トラック設定(No.1)を以下のルールで設定します。

  • 監視対象 … Ping監視(IPv4)
  • 宛先IPアドレス … 198.51.100.1
  • 送信元インタフェース … ethernet1
  • 送信間隔 … 30秒
  • リトライ回数 … 3回

指定回数リトライ後、応答が得られない場合はダウン状態に遷移します。
(☞) インタフェース名を指定した場合、そのインタフェースのIPアドレスが監視パケットの送信元IPアドレスになります。

 

3. <スタティックルート設定>
nxr530(config)#ip route 0.0.0.0/0 ppp 0 netevent 1 active

デフォルトルートを設定します。また、このルート設定はトラック設定がダウン状態に遷移した場合、有効になります。

 

4. <WAN側(ethernet1)インタフェース設定>
nxr530(config)#interface ethernet 1
nxr530(config-if)#ip address dhcp

ethernet1インタフェースのIPアドレスにdhcpを設定します。

nxr530(config-if)#ip masquerade
nxr530(config-if)#ip spi-filter

IPマスカレード、ステートフルパケットインスペクションを有効にします。

nxr530(config-if)#ip tcp adjust-mss auto

TCP MSSの調整機能をオートに設定します。

 

5. <PPPアカウント設定>
nxr530(config)#ppp account username [ISP_B接続用ユーザID] password [ISP_B接続用パスワード]

ISP_B接続用ユーザID,パスワードを設定します。

 

6. <WAN側(ppp0)インタフェース設定>
nxr530(config)#interface ppp 0
nxr530(config-ppp)#ip address negotiated

ppp0インタフェースのIPアドレスにnegotiatedを設定します。

nxr530(config-ppp)#ip masquerade
nxr530(config-ppp)#ip spi-filter

IPマスカレード、ステートフルパケットインスペクションを有効にします。

nxr530(config-ppp)#ip tcp adjust-mss auto

TCP MSSの調整機能をオートに設定します。

nxr530(config-ppp)#ppp username [ISP_B接続用ユーザID]

ISP_B接続用ユーザIDを設定します。

 

7. <ethernet2インタフェース設定>
nxr530(config)#interface ethernet 2
nxr530(config-if)#no ip address
nxr530(config-if)#pppoe-client ppp 0

PPPoEクライアントにppp0を設定します。

 

8. <DNS設定>
nxr530(config)#dns
nxr530(config-dns)#service enable

DNSサービスを有効にします。

nxr530(config-dns)#priority dhcp 1
nxr530(config-dns)#priority ppp 0 10

DNSサーバの優先度を変更します。
DHCPで取得したDNSサーバアドレスを、ppp0インタフェースで取得したDNSサーバアドレスよりも優先するように設定します。
(☞) デフォルトではdhcp,ppp0それぞれでDNSサーバアドレスを取得した場合、優先度はppp0→dhcpの順になります。

nxr530(config-dns)#timeout 5

タイムアウト時間を設定します。

 

9. <ファストフォワーディング設定>
 nxr530(config)#fast-forwarding enable

ファストフォワーディングを有効にします。

 

10. <設定の保存>
nxr530#save config

設定内容を保存します。

 

【 端末の設定例 】

IPアドレス 192.168.10.100
サブネットマスク 255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ 192.168.10.1
DNSサーバ

 

【 補足 】

〔DHCPクライアント設定〕

一部機種ではDHCPクライアント機能でリトライやタイムアウト時間を変更ことができます。

【対象機種】NXR-650,NXR-530,NXR-160/LW,NXR-G180/L-CA,NXR-G200シリーズ,NXR-G110シリーズ,NXR-G050シリーズ(2021/12現在)
最新の対応状況は、各製品の更新履歴やユーザーズガイドをご確認ください。

<DHCPクライアント設定>
(config)#interface ethernet 1
(config-if)#ip address dhcp
(config-if)#ip dhcp retry [リトライ時間]

DHCPクライアントがDHCPサーバが存在しないと判断してから、再度DHCPサーバにアクセスを試みるまでの時間を設定します。

(config-if)#ip dhcp timeout [タイムアウト時間]

DHCPクライアントがアドレス要求後、サーバから応答がなく、サーバにアクセスすることができないと判断するまでの時間を設定します。

 

【 付録 】