FutureNet

NXR,VXRシリーズ

WANインタフェース編

10. 冗長化設定

10-6. メインEthernet+バックアップPPPモバイル構成(Ping監視)

この設定例では、メイン回線にEthernet、バックアップ回線にモバイル(PPP)を利用して冗長化を行います。メイン回線側で障害発生時、バックアップ回線で通信を継続します。

 

【 対象機種 】NXR-160/LW,NXR-G180/L-CA,NXR-G260/L,NXR-G240/L,NXR-G110/L,NXR-G100/L(2022/5現在)

最新の対応状況は、各製品の更新履歴やユーザーズガイドをご確認ください。

 

コンテンツ
構成図 設定例 設定例解説 端末の設定例 付録

 

【 構成図 】

  • この例ではメイン回線のインタフェースをeth1、バックアップ回線のインタフェースをppp0とします。
  • メイン回線の監視方法には、Ping監視(track設定)を使用します。
  • NXR-G180/L-CAはキャリアアグリゲーション対応の内蔵通信モジュールがmobile1(LTE1),キャリアアグリゲーション未対応の内蔵通信モジュールがmobile2(LTE2)となります。よって、NXR-G180/L-CAで設定する場合はmobile1をmobile2に読み替えて設定してください。

 

〔正常時〕

  • メイン回線のEthernet,バックアップ回線のPPPは、ともに常時接続とします。
  • ppp0側の通信経路(デフォルトルート)はネットイベント機能で無効にします。

 

〔メイン回線側障害時〕

  • メイン回線側障害時、ネットイベント機能でppp0側の通信経路(デフォルトルート)が有効になり、ppp0側で通信を継続します。
    (☞) メイン回線側の障害は、メイン回線監視先へのPingがNGとなり、トラック状態がダウンすることを想定しています。
  • 通信経路は、ip routeコマンドで設定したデフォルトルートとDHCPで取得したデフォルトゲートウェイが両方有効な場合、ip routeコマンドで設定したデフォルトルートが優先となります。

 

【 設定例 】

nxrg110#configure terminal
nxrg110(config)#interface ethernet 0
nxrg110(config-if)#ip address 192.168.10.1/24
nxrg110(config-if)#exit
nxrg110(config)#track 1 ip reachability 198.51.100.1 interface ethernet 1 30 3
nxrg110(config)#ip route 0.0.0.0/0 ppp 0 netevent 1 active
nxrg110(config)#interface ethernet 1
nxrg110(config-if)#ip address dhcp
nxrg110(config-if)#ip masquerade
nxrg110(config-if)#ip spi-filter
nxrg110(config-if)#ip tcp adjust-mss auto
nxrg110(config-if)#exit
nxrg110(config)#ppp account username [モバイル(PPP)接続用ユーザID] password [モバイル(PPP)接続用パスワード]
nxrg110(config)#interface ppp 0
nxrg110(config-ppp)#ip address negotiated
nxrg110(config-ppp)#ip masquerade
nxrg110(config-ppp)#ip spi-filter
nxrg110(config-ppp)#ip tcp adjust-mss auto
nxrg110(config-ppp)#ppp username [モバイル(PPP)接続用ユーザID]
nxrg110(config-ppp)#mobile apn [APN] cid 1 pdp-type ip
nxrg110(config-ppp)#dial-up string *99***1#
nxrg110(config-ppp)#dial-up timeout 30
nxrg110(config-ppp)#exit
nxrg110(config)#mobile error-recovery-reset
nxrg110(config)#mobile termination-recovery reset
nxrg110(config)#mobile 1 ppp 0
nxrg110(config)#mobile 1 carrier [キャリア]
nxrg110(config)#exit
nxrg110#clear mobile 1
nxrg110#configure terminal
nxrg110(config)#dns
nxrg110(config-dns)#service enable
nxrg110(config-dns)#priority dhcp 1
nxrg110(config-dns)#priority ppp 0 10
nxrg110(config-dns)#timeout 5
nxrg110(config-dns)#exit
nxrg110(config)#fast-forwarding enable
nxrg110(config)#exit
nxrg110#save config

 

【 設定例解説 】

1. <LAN側(ethernet0)インタフェース設定>
nxrg110(config)#interface ethernet 0
nxrg110(config-if)#ip address 192.168.10.1/24

ethernet0インタフェースのIPアドレスを設定します。

 

2. <トラック設定>
nxrg110(config)#track 1 ip reachability 198.51.100.1 interface ethernet 1 30 3

以下のルールでトラックを設定します。

  • トラック番号 … 1
  • 監視方法 … Ping(IPv4)監視
  • 宛先IPv4アドレス … 198.51.100.1
  • 出力インタフェース … ethernet1
  • 監視間隔 … 30秒
  • リトライ回数 … 3回

 

3. <スタティックルート設定>
nxrg110(config)#ip route 0.0.0.0/0 ppp 0 netevent 1 active

デフォルトルートを設定します。ppp0の経路はネットイベントを指定し、トラック設定(Ping監視)で障害を検知した場合のみ、有効にします。

 

4. <WAN側(ethernet1)インタフェース設定>
nxrg110(config)#interface ethernet 1
nxrg110(config-if)#ip address dhcp

ethernet1インタフェースのIPアドレスにdhcpを設定します。

nxrg110(config-if)#ip masquerade
nxrg110(config-if)#ip spi-filter

IPマスカレード、ステートフルパケットインスペクションを有効にします。

nxrg110(config-if)#ip tcp adjust-mss auto

TCP MSSの調整機能をオートに設定します。

 

5. <PPPアカウント設定>
nxrg110(config)#ppp account username [モバイル(PPP)接続用ユーザID] password [モバイル(PPP)接続用パスワード]

モバイル(PPP)接続用ユーザID,パスワードを設定します。

 

6. <WAN側(ppp0)インタフェース設定>
nxrg110(config)#interface ppp 0
nxrg110(config-ppp)#ip address negotiated

ppp0インタフェースのIPアドレスにnegotiatedを設定します。

nxrg110(config-ppp)#ip masquerade
nxrg110(config-ppp)#ip spi-filter

IPマスカレード、ステートフルパケットインスペクションを有効にします。

nxrg110(config-ppp)#ip tcp adjust-mss auto

TCP MSSの調整機能をオートに設定します。

nxrg110(config-ppp)#ppp username [モバイル(PPP)接続用ユーザID]

モバイル(PPP)接続用ユーザIDを設定します。

nxrg110(config-ppp)#mobile apn [APN] cid 1 pdp-type ip

APN,CID,PDPタイプを設定します。

nxrg110(config-ppp)#dial-up string *99***1#

発信用の電話番号を設定します。
(☞) 電話番号の#の前の数字はCIDを表しています。

nxrg110(config-ppp)#dial-up timeout 30

ダイアルタイムアウトを設定します。

 

7. <モバイルエラーリカバリー設定>
nxrg110(config)#mobile error-recovery-reset

内蔵通信モジュールとの通信に重大な問題が発生する可能性が高いと判断した場合、内蔵通信モジュールのリセットを行うように設定します。

 

8. <モバイルターミネーションリカバリー設定>
nxrg110(config)#mobile termination-recovery reset

PPP接続時に網側から切断された場合、内蔵通信モジュールのリセットを行うように設定します。

 

9. <モバイル割り当て設定>
nxrg110(config)#mobile 1 ppp 0

mobile1として認識されている内蔵通信モジュールとppp0インタフェースの関連づけを行います。
内蔵通信モジュールをPPPインタフェースで使用する場合は、mobileコマンドによるPPPインタフェースへの関連付けが必要になります。
(☞) mobile1の情報はshow mobile 1コマンドで確認することができます。

 

10. <モバイルキャリア設定>
nxrg110(config)#mobile 1 carrier [キャリア]

mobile1のキャリアを設定します。
(☞) キャリア設定は「clear mobile 1」コマンドによるモバイルリセットを行うことで反映されます。

 

11. <DNS設定>
nxrg110(config)#dns
nxrg110(config-dns)#service enable

DNSサービスを有効にします。

nxrg110(config-dns)#priority dhcp 1
nxrg110(config-dns)#priority ppp 0 10

DNSサーバの優先度を変更します。
DHCPで取得したDNSサーバアドレスを、ppp0インタフェースで取得したDNSサーバアドレスよりも優先するように設定します。
(☞) デフォルトではdhcp,ppp0それぞれでDNSサーバアドレスを取得した場合、優先度はppp0→dhcpの順になります。

nxrg110(config-dns)#timeout 5

タイムアウト時間を設定します。

 

12. <ファストフォワーディング設定>
nxrg110(config)#fast-forwarding enable

ファストフォワーディングを有効にします。

 

13. <設定の保存>
nxrg110#save config

設定内容を保存します。

 

【 端末の設定例 】

IPアドレス 192.168.10.100
サブネットマスク 255.255.255.0
デフォルトゲートウェイ 192.168.10.1
DNSサーバ

 

【 付録 】